パンデミックを経て頭角を現したアーティストたち
コロナ禍だった2020年頃を境に、ハワイでは数々の新進気鋭ローカルアーティストが頭角を現してきました。外出禁止令が出された「ロックダウン」をきっかけにアート活動を本格化させた多くのアーティストたちが、様々なスタイルの作品を生み出し、それらがファーマーズマーケットやオンラインショップで注目を集め、成長していったのです。
そんな流れの中で、とくに注目を集めているのが「アロハ・デ・メレ」のジェーティー・オヘリオ(JT Ojerio)。西オアフ出身でネイティブハワイアンの血を引く父と、ハワイ島コナ出身の母を持つ、オアフ島出身のロコガールです。
もともとアスリートとして、レスリング、柔道、さらにアメリカン・フットボール選手として活躍していた彼女。アメリカ本土の大学へ進んで運動生理学の修士号や痛みに関する医学(疼痛医学)の資格を取り、トレーナーなどとしても活動していました。しかし、2017年に大きな怪我をしてしまい、その治療中にアートの道に目覚めたのだそうです。
故郷のハワイへ戻り、周囲にも助けられながらハワイの自然や花、人々を描くアーティスト活動を本格化したのが2020年。そう、コロナ禍の直前くらいでした。描いた作品をオンラインショップで販売したところ話題となり、カイルアのファーマーズマーケットに出店するとさらに多くの人の目に留まることに。パンデミックを経た現在では、ハワイの歴史的建造物であり国宝でもある「イオラニ宮殿」などとのコラボレーションまで行う、人気アーティストです。
「故郷のハワイが、私にアートを描かせてくれる」
「アメリカ本土にいた時から、ハワイに想いを馳せながら生活していたの。故郷へ戻ってきて、ハワイの花や景色、文化、人々など、ハワイのエレメントの素晴らしさをさらに再確認して。これらをアートで表現して、見てくれた人がハワイの小さなピース(かけら)を感じてくれるような作品を作りたいと思ったのよ」とJT。ハワイが自分に絵を描かせてくれることがありがたい、という彼女はまさにスペシャル。
ディテールが細かく写実的で、一見写真のようにも見える花やレイのアートは、そこから甘い香りが漂ってきそうな繊細さが魅力。力強く美しい女性を描いた作品からは、あふれる生命力を感じます。アートプリントはもちろん、それをプリントしたパレオやタオル、バゲットハット、グリーティングカードなども展開していて、まさに「ハワイを身に纏える」のが素敵なんですよね…。
アート制作の合間に、モロカイ島〜オアフ島を渡るパドリングレースに参加したり、趣味のピアノを弾いたり、子どものように好奇心いっぱいなJTが生み出す、独特のアート。地元ローカルはもちろん、日本をはじめ、世界中から注目を集め始めているアロハ・デ・メレから目が離せません。