2024 02.06 tue

コーヒー界は日進月歩
続々と登場する
新たな技の真偽やいかに

Yesterday Is Already in the Past
The Trueth of the New Coffee Brewing Tips
ALFRED’S COFFEE

「つい最近まで邪道といわれていたことが、最新のメインストリームになる。そんな現象が日常茶飯事なのが、僕の働くコーヒー業界です」
いつもbowlで、コーヒーに関する貴重な知識を披露してくれる、ロッシ国枝さん。今日のテーマは、話題にのぼりやすい抽出テクニックのウソ・ホントです。

「リンス」、要・不要論争

以前の記事で、抽出の際に使用するフィルターについて詳しく解説しました。フィルターに関連するテクニックで、賛否がわかれるのが「リンス」という作業だと国枝さんは話します。
「これは、ドリッパーにフィルターをセットした状態で、まずフィルターだけにお湯をかけて湿らせることをいいます」
こだわりの強いコーヒー店などに行くと、この作業を見かけることも多いですが、じつは必ず必要かというとそうとも言い切れないようで…。
「リンスの第一義は、紙のにおいを洗い流すこと。においの強い安価なクラフトフィルターの場合は効果的かもしれませんが、それなりのメーカー製の商品や、漂白済みの白いフィルターであれば、まず必要ありません」

デメリットも理解しよう

さらにリンスにはデメリットもあると、国枝さんは続けます。
「乾いたフィルターには、コーヒーの余計な微粉を吸着してくれるという本来の役割があります。ですが、お湯で濡らしてしまうとこの効果が半減。しかも、フィルターが濡れることでドリッパーと密着してしまうため、ドリッパーの溝を空気が通りにくくなる。抽出の際の循環が悪くなるんです」
なかには、ドリッパーやサーバーの保温のためにリンスをしている人もいるそう。一概にリンスをすることが悪いわけではありませんが、「その作業が本来もつ意味を、常に考えてほしいですね」と国枝さんは話します。

「スワール」「ステア」って、なんだ?

「近年、欧米のカフェで主流になりつつあるテクニックに、『スワール』と呼ばれるものがあります。これは、お湯を注ぎ入れたドリッパーを手で持って回すこと。こうすることで、ハンドドリップではどうしても生じるお湯の偏りをならし、豆にまんべんなく水分をいきわたらせるという効果があります」
さらには「ステア」というテクニックにも、最近注目が集まっていると国枝さんは続けます。
「これは、お湯を注いで蒸らしている最中のコーヒーを、スプーンやマドラーを使って混ぜる方法。焙煎したコーヒー豆は、炭酸ガスを放出するんですが、このガスがあると水分が豆の繊維に入り込みにくい。ステアをすることで、ガスを逃がしやすくするのがステアの目的です」
一昔前であれば、邪道だと一蹴されていたこの技法。目的と効果を見極めることで、スタンダードが変化し続けることも、コーヒー業界のおもしろさのひとつです。

BRAND ブランド紹介

ALFRED’S COFFEE
アルフレッズコーヒー オアフ島

ハワイの有名ホテル・レストラン100社以上にオリジナル焙煎のコーヒー豆を提供しているロースター、アルフレッド・コッシーナ。1983年からコーヒーの世界に携わり、いまやハワイのコーヒー業界になくてはならない人となりました。ガイドブックにはまず載らない、知る人ぞ知るコーヒー職人である彼の日本限定オリジナルブランド。