「シーアスパラガ~ス! ウミノヤサ~イ!」
日本で展示会があると、覚えた日本語で一生懸命呼び込みをしてくれるのが「オラカイハワイ」のウェンハオ・サン博士です。彼がオアフ島北部のカフクで育てる「シーアスパラガス」は、海水を引き込んだ水耕栽培によるまさに「海の野菜」。豊富な栄養価と、自身のもつ自然な塩気が特徴です。
シーアスパラガスの原点はヒヤシンス!?
中国出身の科学者であるウェンハオ、以前は上海で「アレロパシー」を専門にしていたそう。アレロパシーとは、ある植物がほかの植物に対して与える効果のこと。「ヒヤシンスを水耕栽培すると、その水中では藻が繁殖しないのはなぜか」という研究をしていたそうです。ヒヤシンスの生育に伴い水中の栄養価が減るから、ヒヤシンスが日光を遮るから、そんな俗説を覆いし、ウェンハオがたどり着いた結論は、「ヒヤシンスから出る自然由来の化学物質が、藻の生育を抑制していることを発見したんだ」。この物質を突き止めるのに、じつに4年もの歳月がかかったといいます。
奥様は10カ月遅れで
博士号取得のために、上海を出て別の場所に行こうと考えていたウェンハオ。ちょうどハワイ大学にこの分野専門の教授がいることを知り、移住を決めたのでした。1992年のことです。
「僕は35歳くらいだったかな。もう結婚もしていて、妻は最初は移住を嫌がった(笑)。でも遅れること10カ月くらいでハワイに越してきてくれたんだよ」
なかなか実らぬその思い
ウェンハオのお目当てだったのが、ハワイ大学でアレロパシーを専門にしていた台湾人のタン教授。彼のもとで研究がしたくて移住したウェンハオでしたが、そこにたどり着くまでには紆余曲折あったそうで…。
「タン先生はぜひ、と言ってくれたんだけど、そのとき彼には僕を受け入れるだけの元手がなかった。それで、別の先生を紹介してくれたんだ」
その先生のもとで博士号を取得し、後にポストドクターの研究でウェンハオはアメリカ本土へ。そしてまた、今度こそタン先生と研究を!とハワイに戻ったのですが…「ハワイ大学のまた別の教授、光合成が専門の先生のもとで働くことになったんだ」
なんともなかなか意中の人にたどりつけないウェンハオの半生! 次回に続きます。