進化を続けるハワイ・ホノルルのクラフトビールシーンの中でも、Beer Lab HI(ビア・ラボ)は少し異なる個性を持つブルワリーです。
名前にある「Lab」は、Laboratory=実験室のこと。その名の通り、新しいレシピを試し、調整し、また造る。そんな試行錯誤を重ねながら、自分たちらしいビールをつくり続けてきました。
パールハーバーでエンジニアとして働いていたケビン・テルヤ、ニック・ウォン、デレク・タグチの3人。Beer Labの原点は、ケビンが趣味として始めたホームブルーイングでした。やがて同僚だったニックとデレクも加わり、3人でブルワリーを立ち上げることになります。
ビア・ラボの歴史はこちらからもどうぞ
Beer Lab HIの歴史 好奇心から始まったこと
エンジニア3人の好奇心からスタートしたビール作り
仕事でアメリカ本土を訪れる機会も多かった3人は、各地でさまざまなクラフトビールに出会いました。東海岸のヘイジーIPA、西海岸らしいホップの効いたビールなど、当時のハワイではまだあまり出会えなかった味も多かったそうです。
「ハワイで飲めないなら、自分たちで造ってみよう」。
そんなシンプルな好奇心から始まったビール造りは、やがて本格的なブルワリーへ。Beer Lab HIは2015年にスタートしました。
面白いのは、ひとつの完成形を決めて終わりではないところです。モルトの配合、酵母、ホップの種類や量を変えながら、何度も試作を重ねます。代表的な「Omakase IPA」も、そのひとつ。現在の形にたどり着くまでに50以上のバリエーションを造ってきました。
ただ個性を強くすればいいわけではなく、目指しているのは全体のバランス。数字を見ながら検証し、少しずつ調整していく。その姿勢には、エンジニア出身の3人らしさも感じます。

“ハワイらしさ”を味だけで表現しない
Beer Labのもうひとつの特徴が、ローカルとのつながりです。これまで、レインボー・ドライブインやハワイ大学野球部、In4mationなど、地元ハワイの人気店やブランド、団体などと、さまざまなコラボレーションを行ってきました。
中でも興味深いのが、地元の素材との向き合い方です。
パールリッジ・センターのすぐそばで、約100年にわたり農業を続ける「スミダファーム」とのコラボでは、農園を代表するウォータークレスをそのままビールに入れるのではなく、料理に合わせやすい軽やかなラガーを造りました。さらに、スミダファームを潤すカラウアオの湧き水に合わせて、水質まで調整したそうです。
トロピカルな「パイナップル」や「リリコイ」を足せばハワイらしくなる、という単純な発想ではないんですよね。
そこで暮らす人や文化、土地の背景を知り、それをどうビールに落とし込むかを考える。Beer Labのハワイとの関わり方は、そんなこだわりもあふれているのです。
変わり続けることこそが、Beer Labらしさ
ハワイでビールを造るには、島ならではの難しさもあるといいます。
モルトやホップ、醸造に必要な機材の多くはアメリカ本土などから運ばなければならず、時間もコストもかかります。それでもBeer Labは、手に入るものを使いながら、この場所だからできるビール造りを続けてきました。
現在は、ベレタニア、パックス・アリー、パールリッジに3つの拠点を展開。それぞれ多くのリピーターから愛され、ベレタニアのブルワリーには14バレルの醸造設備を備えています。
創業から10年以上。ホームブルーイングから始まった3人の好奇心は、今も変わっていません。Beer Labの魅力は、派手なストーリーや“これぞハワイ”という一杯だけではなく、もっと良くできないかと考え続ける姿勢そのものにあるといえるでしょう。
少し理系で、真面目。でも遊び心もある。
Beer Labのビールを飲んでいると、そんな彼らの人柄まで、なんとなく伝わってくる気がします。この奥深さ、クセになりますよ。





