最近ハワイのロコガールの間で人気沸騰中のヘアクリップがあります。大ぶりなフラワーモチーフから「スパムむすび」「なると(Kamaboko)」の形まで、そのデザインはユニークでキュートなものばかり。ポップアップマーケットに出店すれば、長い長い行列ができる話題のヘアクリップブランド、それが「クープモンスターズ(Coopmonsters)」なのです。
ブランドの名前の由来は、オーナー・サムさんの愛犬クープ(Coop)。やんちゃでいたずら好きなクープを「クープモンスター」と呼んでいたことから、ブランド名が生まれました。じつは最初、犬用のおやつやバンダナ、リードなどの「ペット用品」からスタートしたというこのブランド、今年でちょうど10周年を迎えます。
「アートじゃ食べていけない」…それでも何かを作りたかった
オーナーのサムさんは、ハワイ・オアフ島生まれのロコガール。ハワイ大学で社会学を専攻しながらも、アートクラスも学んでいました。しかし、周囲からは「アートで食べていくのは難しい」というプレッシャーもあり、アートをメジャー専攻にすることはなかったのだそう。大学卒業後は人事関連の仕事に就いて、キャリアを積んでいきました。
それでも、物を作ること・デザインすることへの情熱は消えることがなかった。フルタイムの仕事をしながらも副業としてブランドを立ち上げ、大好きなペットのためのバンダナやおやつ、カラーやリードなどを制作・販売し始めました。多忙な日々の中で少しずつ育ててきたクープモンスターズは、やがてサムさんの人生を大きく変えることになります。
転機となったのは2024年7月。家族で営んでいたガソリンスタンド事業が、コロナ禍の影響を受けて閉業。当時はサムさんも家業を手伝っていたため、仕事を失う形になりました。もちろん、安定を求めて再就職する道もあった。けれど、思い切って自身のブランド一本に絞る決断をしたのです。
同年8月に初めて「Made in Hawaii Festival」に出展。その挑戦が、ブランドの急成長へとつながりました。「フルタイムの仕事を失ったことは、むしろ自分のビジネスに全力を注ぐチャンスになったのかも。おかげで今の私があるんです」。そう振り返るサムさんの言葉には、覚悟と清々しさが漂って、とても素敵なのです。

「なければ作ればいい」の発想から誕生したヘアクリップ
ペット用品を中心に展開していたクープモンスターズが、「ヘアアクセサリー」へと舵を切ったのは、約3年前のこと。
「当時、自分が使うヘアアイテムを探していて、ハワイらしいデザインのヘアクロー(ヘアクリップ)がほとんど市場に存在しないことに気づいたんです。欲しいものが、ない。誰もやっていないなら、自分で作っちゃおう!と思いついたのが最初ですね」とサムさん。こんな思いつきからスタートした新たな挑戦が、最初の一歩でした。
最初のデザインはシャカ(Shaka)サイン。カラーバリエーションも豊富にそろえて発表したところ、その反響は予想をはるかに超えるものでした。

「ムスビを頭に乗せるの?」と言われたけれど
ハイビスカスやアンスリウム、ハワイアンキルトなど、キュートなデザインも豊富。さらに、スパムむすび、ナルト、シェイブアイス、しゃもじや花札…。次々と生まれるデザインは、どれもハワイの日常に根ざしたモチーフばかり。
「スパムむすびのデザインを作ったときは、『え?ムスビを頭に乗せるの?』って、夫にも不思議がられたんです。止めたほうがいいよ、って言いたかったのかもしれません。でも、あのとき思い切ってよかったと本当に思ってます」と笑います。
「自分が好きなもの、自分がほしいと思うものしか作らない」というのが彼女のポリシー。しかも、その形や色味、サイズ感など、ひとつひとつ何度も試行錯誤を重ねるクリエイター魂がすごいんです。もちろん、デザインだけでなく、ロコガールのしなやかなロングヘアもしっかり留められる品質へのこだわりも人一倍。
直営店舗は持たず、ポップアップイベントとオンラインショップを中心に展開しながらも、口コミとSNSでファンを増やし続けるのは、そんなサムさんの思いが形になっているからこそ、だと思います。
デザイン・製造管理・SNS・イベント出店・カスタマーサービスまで、すべてひとりで担いながら、2人の子どもを育てるお母さんでもあるサムさん。とてつもなく忙しい日々の中、その情熱と創造性で、新たな「ハワイの愛されアイテム」を生み出し続けています。
次回は、ハワイのカルチャーを形にし続けるブランド哲学と、ローカルブランドとのコラボレーションについてご紹介します。





