古い話で恐縮である。私が初めてハワイを訪れた21世紀初頭。ワイキキで飲んでいたビールと言えばクリーム色の「C」社かシルバーの「M」社のLIGHT缶だった。友人宅の馬鹿でかい冷蔵庫から勝手に拝借して、コンドミニアムのラナイ(ベランダ)からビーチを眺めつつ夕暮れ時に何度となくプルタブをプシュッとひねる。これが滞在時の欠かせぬ日課であった。「それ分かる!」という方も多いのではないだろうか。無論、当時のワイキキには、今のように美味いクラフトビール醸造所が所々に存在する幸せな環境がある筈もない。心地よく乾いた常夏の空気には、辛くて重い日本のビールより、アメリカン・ビールのライトな味わいが、どうしたって口に合った。
私がBeerLabの「PALAKA(パラカ)」を呑んだ時ふと思い出したのは、まさにそんな心地よいサンセットタイムのワイキキの光景だった。無論「パラカ」のほんのり香る青リンゴやシトラスの余韻や、ウィートエールならではの爽快な飲み口。そして後半に訪れるエレガントな苦味・・・そういったクラフトビールの真骨頂は、当時も今もなかなか一般のビールでは味わえない。
けれど、パラカの「常夏の気候に合う軽快さ」は、やはりアメリカン・ビールのそれなのだ。
現地ではこれを、一旦グラスに開け、オレンジをビアカップに添えて呑むという。
OMG。揚げたてのガーリックシュリンプや、ネギや胡椒を効かせごま油香るアヒポケ・タコポケに合うに決まっているではないか。
ライムグリーンの格子が洒落た「パラカ柄」缶を冷蔵庫に確認した梅雨入りの鎌倉。遠い時代の幻影を夕陽に照らしながら、私は近場のスーパーマーケットにバナメイエビとマグロの柵を買いに自転車を漕ぐのであった。
という訳で、初夏から晩夏にかけて、ハワイアン・シーフードを愉しむ日本のリラックス・タイムには、ペアリング相性抜群の「パラカ」。推しである。
BOWLが気になる
あのこと、あの場所、 あの話