「メネフネ」
ハワイではさまざまなブランド名に用いられているので、聞いたことがある方も多いかもしれません。以前の記事でもご紹介した、ハワイで現存するもっとも古いお菓子メーカーのブランド名も「メネフネマック」。冒頭の写真は、彼らの店舗の壁に描かれたなんともキュートなメネフネくんです。
メネフネとは、ハワイ、特にカウアイ島に伝わる土木や建築が得意な「小さな人たち」。昼間は姿を見せず、夜こっそり仕事を手伝ってくれるといいます。とってもマッチョでたくましく、ただ背丈は人間の半分ほどだとか。カウアイ島にはそんなメネフネが残した痕跡だといわれる場所がいくつか残っています。
人間じゃ通れない? メネフネ・ディッチ
メネフネマックの社長・ニールを訪ねたとき、「メネフネを見たことある?」と冗談交じりに聞いたことがあります。「ない!」。即答でしたが、続けて「証拠なら見たことがあるよ」と言うのです。それがカウアイ島にある「メネフネ・ディッチ」。ディッチとは水路のことです。その昔、干ばつで苦しんでいたこの地域のリーダーがメネフネに作ってもらった用水路だといいます。
「山の真ん中に用水路が通っていくんだけど、その穴がとっても小さくて人間が掘って入れるようにはどうしても見えないんだよ」
ワイメアタウンからワイメア川沿いを、その名も「メネフネロード」を北に入ったところにあります。
メネフネ・フィッシュポンド
カウアイ島の東側、ナウィリウィリ港から少し西に行くと、緑の中に池が現れます。これが「メネフネ・フィッシュポンド」。フィッシュポンドとは魚の養殖場のことで、こちらも人間がメネフネに作ってもらったものだと言い伝えられています。しかし、作業は決してのぞかない、という約束を守れなかった人間たち。メネフネは工事途中で去って行ってしまいました。フィッシュポンドの壁に一部見た目が異なる箇所があるのは、メネフネが放棄した工事を人間が補完したからだといわれています。
一説によると、ポリネシアの他の島からカウアイに移住してきた人たちが、メネフネ伝説のもとになったともいわれています。新参者の立場が社会的に低かったことから、「背が小さかった」という表現になったとも。今も昔もさまざまな地域から人が集まり、独自の文化を作り上げているハワイ。メネフネ伝説は、その象徴なのかもしれません。