毎日自宅で豆を挽き、ハンドドリップで淹れているというコーヒー愛好家は、ずいぶん増えたように感じます。でも、それがアイスコーヒーとなるとどうでしょう? いまいちセオリーがわからずに、結局できあいのものを購入してしまうという人も多いはず。今回は、まだまだ残暑厳しいこの季節をおいしく乗りきるための、究極のアイスコーヒーの淹れ方をご紹介します。レクチャしてくれるのは、bowlの頼れるコーヒープロフェッショナル、ロッシ国枝さんです。
冷やすことで変化する風味を逆算
「通常のコーヒーのようにお湯で抽出してから冷やすタイプのアイスコーヒーは、冷やす過程でどうしても風味が落ちます。なので、より苦みの強い深い焙煎豆を使うことが多いです」
今回、国枝さんが用意したのは、フレンチロースト。一般的に8段階に分けられる焙煎レベルのうち、7番目にあたる深煎り豆です。
「この豆を落としたばかりの熱い状態で試飲してみると、だいぶ強い苦みを感じます。それを冷やしていくことで、徐々に豆が本来もつ酸味や甘味を感じるようになってくるんです」
熱いコーヒーを冷やす際には、水を張った洗面器などにサーバーごと浸けるのが一番だと国枝さん。水に氷を浮かべるとなお良し、と話します。
「よく、急冷するために冷凍庫に入れるという人がいるのですが、じつはこの方法だとより時間がかかる。サーバーの表面に直接水が触れた方が、結果、かかる時間は少なくてすむんです。途中で1、2回水を換えて、20分ほど。あとは氷を入れたグラスに注ぐことで、おいしいアイスコーヒーができあがりますよ」
低温・長時間抽出ならではの味わい
もうひとつ、アイスコーヒーの淹れ方で忘れてはならないのが、「水出し」です。
「これは、あらかじめ不織布などのパックに充填された状態のコーヒーを水と一緒にポットに入れる、もしくは、注ぎ口部分にフィルターのついたポットに水と挽いたコーヒーを入れ、冷蔵庫で8時間おく方法です」
熱いお湯を使い、短時間で淹れる場合と違い、冷たい水に浸けるのでコーヒー成分は溶解しづらい。それをゆっくりと抽出することで、飲み口はまろやか。かつ、時間をかけたことで生まれるあと味の厚みが特徴だといいます。もうひとつ、おもしろい水出しの方法があると国枝さん。
「“ミルク出しコーヒー”です。要は、水出しコーヒーの要領で、牛乳にコーヒーを8時間ほど浸けておけばいいんです。ミルクの膜があるので、通常の水出しに比べると抽出度は落ちますが、なんともいえないコクが生まれます。いつものアイスカフェオレともまったく違う味になるので、興味のある方は、ぜひ」