マウイ島・ハレアカラ山麓の高原地帯、クラ。豊富な日差しと吹き抜ける涼しい風がきもちのいいこのエリアで育つのが「マウイオニオン」です。一年中新たまねぎのような甘みのある味わいが特徴。りんごのように生のままかじって食べることさえできるといいます。ちなみにこの「マウイオニオン」という名前、特定の品種を指すものではなく、クラ地区を中心に収穫されるこのたまねぎのブランドネーム。マウイ島では毎年「マウイオニオンフェスティバル」なるものも開催されるというから、いかに地元から愛されているかということがわかります。ちなみにこのイベントでは、揚げたてのマウイオニオンリングが名物なんだそうですよ。
抜いたら干して、よりしゃきしゃきに
「土から抜き出したら、根の様子を見てしばらく畑に横たえて干すよ。こうすることでしゃきしゃきとした良い食感を増すことができるんだ」
クラで4代目農家としてさまざまな野菜やフルーツを育てる、「クラカントリーファーム」のチャウンシー・モンデンが教えてくれます。せっかく抜き出したマウイオニオンが、そのまま畑に放置されているのはなぜ?と思ったらそういうことですか。現在彼は季節に合わせて4つほどの品種のマウイオニオンを育てているそう。植え付けから収穫までは4カ月ほどかかるといいます。
シナトラも愛したマウイオニオン
チャウンシーが、うれしそうにひとつエピソードを教えてくれました。あるときマウイ島に訪れたフランク・シナトラ。ローカルのハンバーガー店で初めて食べたマウイオニオンのおいしさに感動。それ以来、毎年大きな袋で1袋、マウイ島からマウイオニオンを取り寄せていたのだそうです。
一面にたまねぎの新芽の緑が揺れるなだらかなクラの丘。その向こうには深い紺碧の海が広がり、島の西側の稜線がまぶしい太陽の光を受けてかすんでいます。こんな場所で育ったら、人間もたまねぎもすくすくまっすぐにしか育たないのでしょう!