コーヒーは好み。何をおいしいとするかはその人次第。そんな大前提のもとに、コーヒーを淹れる際のポイントをご紹介する企画、第2回目。前回は豆の挽き方、お湯の温度により、味にどのような影響があるかについてご説明しました。引き続きお話を伺うのは、焙煎を専門とするコーヒーマスター、ロッシ国枝さん。どんな器具を使った抽出するかでも、その仕上がりに大きな違いが出ると話します。
お湯に浸る時間がカギ
「多くの皆さんが使っているであろうコーヒーメーカーやハンドドリップは、お湯が豆を通り抜けていくタイプ。一方、サイホンやフレンチプレスでは、一定時間お湯の中に浸されるので、抽出度が高くなります。言ってみれば、前者がシャワー、後者が湯船、そんな感じです」
またドリップの際に使用するペーパーは、目の粗さがさまざまだそう。目がきれいにそろっていればその分だけお湯が通過するスピードが速くなり、よりシャワー時間が短くなります。
「一般的に販売されているペーパーは、箱入りのもののほうが比較的クオリティが高く、目がきれいなものが多いです」
そんなところでも差が出るとは、驚きです。さらに、ドリッパーにはひとつ穴、3つ穴など、穴の数に差があります。穴が少ない方がゆっくりとお湯が落ちるので、この差によっても抽出結果に差が出てくるといえます。
挽き・湯温・時間の駆け引き
前回からの話を整理すると、豆の挽きが細かい、お湯の温度が高い、お湯にコーヒー豆が浸かっている時間が長いと、よりその豆のもつ味を引き出す、ということになります。これを踏まえたうえで抽出をすることが重要だと、国枝さんは話します。
「たとえば安価な豆の場合は、粗挽きかつ、80℃台後半など少し低めの湯音、クイックなドリップであっさりと出す。そうすれば、豆の雑味や苦味まで抽出されにくく、まろやかな仕上がりになります」
逆に、高品質でフルーティな味わいが特徴の豆は、より豆の味を抽出するために中細挽きに。しかし湯温まで高くすると奥に隠れた雑味まで抽出してしまう恐れがあるので、ここは抑えめに80℃後半。という具合に、すべてはバランスなのだといいます。
「でも、豆の味を細部までチェックするためだったら、細挽き・高温でより抽出度も上げてもいいし、そもそも苦味が好きだという方もいる。いろいろ楽しみながら実験してみてください」
次回は実際の淹れ方についてレクチャしてもらいます。