豊かなアロマと、ふくよかな味わい。これがないと一日が始まらない、という人も多いであろうコーヒー。身近な存在でありながら、本当においしい淹れ方や保管方法についてはいまいち正解がわからない、という人も多いのではないでしょうか。そんな疑問をすっきり解決すべく、今回から4回にわたりコーヒー焙煎を専門とするコーヒーマスター、ロッシ国枝さんに伺います。
あなたの「おいしい」が、おいしい
まずはずばり、おいしいコーヒーとはなんでしょうか?
「これはもう、本当にその方の好み次第。たとえば、焙煎したての香ばしい香りを好む人は多いですが、この正体は炭酸ガス。『焙煎臭』といって、嫌う人もいるんです。どちらが正しいというわけではなく、その人がおいしいと感じるものがおいしい、ということです」
そんな前置きをしたうえで、コーヒーを淹れる際に押さえておきたいポイントがいくつかあると、国枝さんは話します。
豆の特性を生かすグラインド
「豆を挽く際に、細挽き、中挽き、荒挽きと、仕上がりの粗さに違いがあります。一般的に、エスプレッソには細挽き、レギュラーコーヒーには中挽きから中細挽きが使われること多いです」
当然ながら細挽きのほうが、抽出の際に豆のもつ味をより引き出すことになります。ならば、細挽きのほうが優れているのかというそうではなく、「手ごろな価格の豆は比較的雑味も多いので、細挽きだとこの雑味まで引き出してしまうことになります」と国枝さん。豆の特性を見極めることが重要なのです。またどの挽き方を選ぶ場合も、仕上がりが均一の粗さになることが重要。ミルの価格の差は、ここに反映されているともいえます。
沸騰から少し低めを狙う
さらに、気を配りたいのが抽出時のお湯の温度。
「温度が高い方が抽出度が高くなるので、良いも悪いも、豆の味わいをより引き出します。僕のおすすめは92℃。一度沸騰させたお湯を、一度別の容器に移し替えたりすると、数回でちょうどいい温度に下がりますよ」
ちょっとした手間が、おいしさを左右するのです。
なんとも奥深いコーヒーの世界。まだまだ続きます。