2020 12.04 fri

天気が変われば
お客さまも変わる
ハワイのアニマル事情

Welcoming A Unique Guest
In Case of Irregular Weather

抜けるような青空をバックに、岩塊に佇む精悍なヤギ。一見するとヨーロッパの山岳地帯のようですが、じつはこれもハワイの景色。ハワイ島の最西端ケアホレ岬近くに現れた、野生のヤギをとらえた1枚です。

緑の大地に導かれ

「今年の夏、コナではいつもの年より雨が多くてね、いつもはかなり乾いている海岸線の近くまで草が生えたの。それにつられてやってきたに違いないわ」
ハワイ島西部のエリア「コナ」でコナシーソルトを共同経営するサンドラはそう話します。
「ふつう牧場なんかでも、ヤギはソルトリックが与えられているでしょ。この写真の黒い子は、いいソルトリックはないかな~って探しているような気がするわ」
「ソルトリック」というのは、動物が塩分補給のためになめる鉱塩のこと。これをヤギや羊に与えているオーナーも多いのです。
「ハワイの牧場ではソルトリックがあるかどうかわからない。だって、天然の塩がそこらじゅうにたくさんあるんだから」

じつはたくさん潜んでます

そもそも、ハワイに野生のヤギが生息していることに驚いた方もいるかもしれません。しかし、ハワイ島やマウイ島の乾燥した岩場ではちらほら見かける顔。人の少ないエリアでは群れをなして岩肌を駆けていく様子も見られたりして、南国ハワイのまた違った一面を見るきもちです。ほかに、羊、鹿、そして豚などもハワイで野生化している動物。豚は豚でも私たちが想像するような肌色の品種ではなく、黒っぽい毛むくじゃらで小ぶりな、小さな猪のような風貌です。ちょっと山道を入っていくと、ウリ坊を連れて山へと足早に消えていく様子に出くわしたりします。

鳥と虫たちの楽園

ハワイで「野生化した」と表現したのには理由があります。これらの動物たち、もともと島に生息していたわけではありません。もともと無人島だったハワイに人が住むようになり、食糧や労働力のために持ち込まれた動物たちが野生化していったものなのです。太平洋のど真ん中に位置する絶海の孤島、ハワイ。それゆえに、もともと生息していた哺乳類はわずか2種。「ハワイアンホーリーバット」と呼ばれるコウモリと、「ハワイアンモンクアザラシ」だけだったのです。空を飛べるコウモリと海を渡れるアザラシ、彼らだけが古のハワイに辿り着き定住したというわけです。

人間はおらず、様々な鳥たちと昆虫だけが暮らしていた遠い昔の楽園ハワイ。現代のワイキキといかにかけ離れた環境だったか、想像してみるのも一興です。