2020 05.26 tue

最初に何を植え付ける?
マウイの畑で目撃した
パイナップルの真実

How Does It All Start?
Maui Gold Field on the Planting Day

「今日は、パイナップルの植え付けが見られると思うよ」
マウイゴールドパイナップルで働くキャリーがそう教えてくれます。追熟しないマウイゴールドの収穫は、すべて完熟を見極めて手作業で収穫するというのは以前聞いたことがありましたが、まさか…。「そうだよ。植え付けも全部手作業なんだ」。期待を裏切らない展開です。

パイナップル物語のスタートは?

まず、「植え付け」と簡単に言いますが、何を植え付けると思いますか? パイナップルの実?
 ? 正解は、すでに栽培されている株の横からぴょこっと生えてきた新芽の部分です。これをパイナップルの実を収穫する際と同じようにすべて手摘みでぽきっと折って、ベルトコンベヤーのついたトラックで集めていきます。そして、まずはその新芽たちを大きなトラックで植え付ける畑にまんべんなくばらまく! そこまで終わったら「プランター」と呼ばれるスタッフさんたちが畑に出て、一つひとつ手作業で植えていくのです。
「ほら、あそこでちょうど作業しているよ」
キャリーの指さす先に人影が2、3人見えてきました。

ベテランの手だからこそ

車を降りて間近で見ると、プランターさんは片手にスコップ、片手に新芽。まずスコップで土に穴を開けたら、もう片方の手に持った新芽を穴目がけてぐさり。そしてまたスコップで穴を開け、新たな新芽をがしっとつかんで穴に植えていきます。その早いこと!
「大体1日に、7000から8000株かな」
まさか…と思いましたが、やはり期待を裏切らない。おひとりのプランターさんが1日にそれだけの数を植えるのだそうです。恐れ入ります!
「いまあそこにいた彼女。うちで一番年配のスタッフだよ」
年配といいますと…?
「70だったかな」
御年70で、あの中腰スタイルを1日中…! 本当に恐れ入ります。私は30分ともたないと思います。しかし、マシンで植え付けをやろうと思ったことはないのでしょうか?
「ここの畑でも、何度かチャレンジしたことがあるみたい。でも、うまかういかなったんだ。芽を穴に入れて、きちんと固定させることが機械だと難しかったみたい」
この文明社会のなか、やっぱり人の手じゃないとうまくいかないことがある。そしてそれを地道に作業してくれている人たちがいるからこそ、味わえる味がある。忘れたくないと思うのです。