2020 04.03 fri

ハワイのご先祖様は
動物の姿でやって来る!
「アウマクア」のお話

What is Legendary “Aumakua”?
Similarity between Hawaii and Japan

日本人が、ハワイに対して抱く親近感。いろいろあると思います。日系移民が多い、というのももちろん理由のひとつでしょう。町中の店の看板にはローマ字で書かれた日本名を多く目にしますし、ハワイの玄関口ホノルル国際空港は、2017年に「ダニエル・K・イノウエ国際空港」となりました。ちなみにこのダニエル・K・イノウエさんは、ハワイ州出身の日系アメリカ人で初めて連邦上院議員になった方です。

八百万のかみさま?

でもそれだけじゃなくって、なぜだかどうしてハワイを身近に感じる理由。それって、自然に対する感謝のきもちにあるように思うんです。日本古来の神道は、自然界に存在するとされる八百万の神への崇拝。ハワイの文化のなかにも、こういったアミニズム的思考が色濃く反映されています。フラダンスのポーズの一つひとつにも、太陽、虹、花…といったように、自然のなかのさまざまな事象、現象といった意味が込められているのです。

ご先祖様と動物の関係

ご先祖様を大事にするというのも、ハワイと日本の近しいところ。日本でお盆と言えば、迎え火・送り火でご先祖様をもてなす、という文化があります。地域によっては、「行きはなるべく早く来て、帰りはゆっくり帰ってほしい」という願いから、「きゅうりの馬」と「なすの牛」を飾ったりもしますよね。ハワイのご先祖様はどうかというと、各家庭ごとに決まった動物の姿を借りて、それぞれの家族を見守ってくれているのだそうです。

世界で愛されるヤモリさん

ご先祖の神様は、ハワイ語で「アウマクア」と呼ばれています。「アウ」は旅する「マクア」は先祖。あちらの世界のご先祖様が、現代に生きる子孫を見守るために遠くこちらまで旅して来てくれた、そんな感じでしょうか。各家庭には、「うちのアウマクアはこれだよ」というのが語り継がれているといいます。代表的なものは「ホヌ(亀)」、「マノ(サメ)」、「プエオ(フクロウ)」など。冒頭の写真の、「モオ」と呼ばれるヤモリ(英語では「ゲッコー」)も、アウマクアとして知られています。日本でも、ヤモリは「家守」なんて字を当てて、家の守り神だということもありますよね。ハワイで注意深く見ていると、これらアウマクアの動物をロゴにあしらったブランドも多いことに気づきます。

自然崇拝というと少々大げさですが、いまある環境に敬意を払って日々を大切に生きるということは、ハワイでも、日本でも、世界中どこでも、この星に生まれた私たちが忘れてはならない訓示のように思います。