2019 08.27 tue

ハワイアンソルト
製造方法による
味の違いとは

How Does It Make a Difference?
Two Ways of Producing Kona Sea Salt
KONA SEA SALT

「海水が塩になるまで、天気にもよるけど全部で5から8週間。そんなにかかるって、みんな知らないわよね」
ハワイ島西部のソルトファーム「コナシーソルト」の、メラニー・ケレコリオはそう言って笑います。彼女たちが塩を製造する方法は大きく分けて、「ホットハウス」と「ソルトトンネル(写真)」の2種類。そのどちらの場合も、塩ができあがるまでには相当の時間を要します。

テントの中は90度以上!? 「ホットハウス」

ビニールハウスの中に海水を張って、その中の気温上昇で水分を蒸発させていくのが「ホットハウス」製法。中の気温は高い時には華氏200度、摂氏でおよそ93度にもなるというから驚きです。
「もう本当に危険な暑さだから。収穫は朝一番の涼しいうちにやるのよ」
まだ日の昇る前、早朝5時開始なんてこともあるといいます。
「この高温で塩はフレーク状に結晶化する。手で簡単にくだけるから、料理の仕上げなどに愛用してくれているシェフが多いわ」

ファンで送風「ソルトトンネル」

冒頭の写真のように、ビニールの長いトンネルを利用するのが「ソルトトンネル」製法。端に設置された大型のファンで風を送って塩を結晶化させます。
「この製法だと結晶はかたまりに、そして固くなる。グラインダーで削って使うのがおすすめよ」
どちらの製法でも3から6週間ほどたったら、下部にドレインのついた装置に移動。ここで2週間放置して、最後まで液体として残る「にがり」を、自重を使って取り除きます。
「最初の工程で長く置きすぎないように気を付けているわ。そうするとにがりの成分も結晶化し始めて、苦い塩になっちゃうから」
極めてシンプルながら、きちんと考え抜かれた製法なのです。

前身は、藻の栽培

もともとは、マイクロアレジ―(微細藻)から、アスタキサンチンなどを製造していたというこの場所。持ち主はハワイ州政府です。
「私は1999年、マイクロアレジ―製造の時代からここで働いているわ。塩づくりを始めたのは2004年で、最初はホットハウスだけだった。私ともうひとりのスタッフしかいなくて、自分たちでホットハウスのための穴を掘ったりしたのよ(笑)」
たかが塩、されど塩。いただくときは、メラニーたちのようなスタッフによる、日々の地道な作業に少しだけ思いを馳せてみてください。

BRAND ブランド紹介

KONA SEA SALT
コナシーソルト ハワイ島

ハワイ島コナに拠点をもつシーソルトブランド。人の手の及ばないコナ沖水深675mの海洋深層水を独自のパイプラインでくみ上げ、ゆっくりと水分を蒸発させます。約2カ月かけてつくられるその塩は、マグネシウム、カリウム、カルシウム、亜鉛などがじつに豊富。一方ナトリウム値は一般的な食塩に比べ33%も低い、理想的なシーソルトです。